【陽介3:メールアドレス】
まー正直、前のトコのヤツらとは何話してたかとか覚えてないし…
友だち…って言うと、何か微妙な感じだな。
俺には稲羽が似合ってるし。
…それに、あそこでやるべきことがあるから。
迷惑メールが来てもメールアドレスを変えない陽介は、
「もしかしたら引っ越す前のクラスメイト達から連絡があるかもしれない」と語る。
友だちと言うには微妙。けれど、ふとしたきっかけでまた会うことがあるかもしれない。
そういう繋がりを重視する、気配り自体は欠かさないムードメーカーが陽介の表向きの姿なのだろう。
……結局、深夜に突然電話を掛けて下ネタトークをするような、残念なイケメンなのだが。
【月0:新マネージャー】
…海老原あい。
…言っとくけどアタシ、やる気ないから。
汗臭いアンタらの世話なんか死んでも嫌。
5月12日、我らがバスケ部に新入部員が現れた。
とは言え選手ではなくマネージャー。しかも開口一番この爆弾発言である。
どうやら出席日数が足りないからマネージャーをしろと発破を掛けられたようだ。
…5月で出席日数が足りないってどんな休みかたしたんだアンタ。
【剛毅4:一条家の人々】
ウチって旧家だから、代々継がなきゃいけないわけ。
で、今の当主…って父親だけどさ、子どもいなくて。
一条家が潰れたら困るから、孤児院からオレを引き取ったんだけど…
…なんつーかまあ、生まれたんだよね。女の子。
良かったよ、これで。
家を継ぐなんて面倒くせーし…
ちゃんと、血が繋がった子が継ぐべきだろ。
一条は努めて明るく話す。
義理の親から与えられる小遣いを「給料」と言ったり、
こんな喋り口調をしていること自体家では内緒だったり。
「よそ行きの仮面」とはよく言うものだが、
家族の前でそれを被らなければならない彼の胸中はいかほどのものか。
中間テストも無事に終わり(当然ながら学年トップ)、事件は新たな展開へ。
老舗の染物屋「巽屋」の息子、巽完二――が、普通のテレビに、「暴走族特集」として出演した。目線モザイクだが声の編集は無し。この手の番組だと音声も誰か分かりづらいようにするもんだと思うけどなあ。
堂島は「バレバレだな」と言いながらも完二のことを「確かどこかの高校に通ってるんじゃなかったか」と思い返したが、……すみません、その目線モザイク野郎が着てる制服、八十神高のです。
そう言えば、菜々子の小学校では「暴走族ごっこ」なんてものが流行ってるそうな。
そんな狂ったごっこ遊びは止めさせろよ教員。
その後、映ったマヨナカテレビには男らしき人影が。
巽完二に当たりを付けて張り込みと聞き込みを始める自称特別捜査隊は、巽屋で売られているハンカチが、山野真由美が持っていたものだと知る。
彼らが立てている推測のひとつ、「事件の被害者は、『山野真由美と何らかの形で接点のある人物か、それに関連する人物』である」というのが、またしても当てはまってしまったわけだ。
後は、完二と話がしたいと高校正門までわざわざやってきた少年と、明らかに怪しい雰囲気になっている完二に陽介と千枝が追い回されるとか、ストレートに携帯電話の番号を聞いてきた主人公相手に雪子が赤面するとか、そういう話があったけどもピックアップ量が多くなりすぎるのもアレなのでココは割愛。
張り込み、先回り、色々と試したものの、力及ばず完二はテレビの中に現れたのだった。
【マ○ナカテレビ】
皆様…こんばんは。 “ハッテン、ボクの町!”のお時間どえす。
今回は…性別の壁を越え、崇高な愛を求める人々が集う、ある施設をご紹介しまぁす。
極秘潜入リポートをするのは、このボク…巽完二くんどえす!
一体、ボクは、というかボクの体は、どうなっちゃうんでしょうか!?
それでは、突・入、してきます!
うわぁ……。
何というか、うわぁ……。
全裸とは行かずともふんどし一丁でサウナに突入していく巽完二さんじゅうごさい。
……前回も言ったけど、これ、本当にCERO Bなのか?
なお、メインストリームのイベントなので、当然のようにフルボイス。
関智一氏の熱演をご堪能頂けます。
マヨナカテレビはあくまでテレビを通して映るだけだから、犯人も見ている可能性は高い。
……もしかしてこれ面白がってやってるんじゃね?
犯人に変態属性(仮)が付与されつつも、とりあえずは完二を救出することを優先することにしましょう。
【諸君、ハッテン場<大浴場>へようこそ。歓迎しよう】
「僕の可愛い仔猫ちゃん…」
「ああ、なんて逞しい筋肉なんだ…」
「怖がる事は無いんだよ… さ、力を抜いて…」
陽介「ちょ、ちょっと待て! い、行きたくねぇぞ、俺!」
次回まではしばらくお待ちください。
ちょっとこの多忙に慣れるまでは……w