目覚めてからの13日が、世界の終わりの始まりだった――
というわけで、RPG配信の第二弾はファイナルファンタジー13! もともと興味のあったタイトルで、PS3購入を機にこれも購入。
実は、FF13は出た当初は「仲間に細かい指示が出せないなんて…」と思って否定していたのですが、『ラストレムナント』との出会いを経てこのあたりの考えが変わりました。『ラストレムナント』は仲間に指示が出せなくても熱い戦闘をきちんと演出できていたわけです。
問題は「リーダーが戦闘不能になるとその時点でゲームオーバー」となることですが、これは「一戦一戦ごとにHPが全回復する」「MPの概念がないため一戦一戦に全力を投入できる」というシステムの反動でしょうし、この一環と捉えれば問題はないでしょう。…まあ、リーダーに追加即死が飛んでくるような状況があるので、そこが問題になりそうです。
【“新しいクリスタルの神話”が始まる――】
パージ(排除)政策の実行のため、聖府の部隊はパージ対象だった市民と共に列車に乗って移動する。
その最中、聖府の軍人だったライトニングは列車の中にいた兵士達を攻撃制圧、
市民達も立ち上がることになる引き金を引いた。
FF13、と言うよりもFF13に連なる一連の作品群は、
ファブラ・ノヴァ・クリスタリス(ラテン語で“新しきクリスタルの神話”)と呼称される。
その第一作であるFF13の物語は、女兵士ライトニングの反乱を口火に燃え上がることとなる。
まずは第一章。「ハングドエッジ」と呼ばれる、遺棄された地域を舞台にしたセクションだ。
オープニングから割と固有名詞が頻出しているため、FF13はこの点で批判の対象になっていたりする。『パルスのファルシのルシがパージでコクーン』などと揶揄されるが、これきちんとオートクリップ読めば分かるじゃないか。
……が、これだけではまるで分からないと思われるので、しっかり説明しよう。というか俺のプレイ記録はまさにこの『初見でネタバレ構わない人』向けに、ストーリーを伝えながら自分のやってたことを語るというスタイルを取ってきたんだから、ここでやらねば誰がやる。
FF13の世界で中心となるのは、『コクーン』と呼ばれる巨大な浮遊都市である。まだ自分も序盤なので説明しづらいが、要するにラピュタのようなものであり、『下界(パルス)』の大地の上に浮いている。これをクリスタルの力で作ったのが『コクーンのファルシ』と呼ばれる存在であり、ファルシとはとどのつまり一般的には“神様”とでも呼ぶべき存在であろう。しかし造物者であるファルシはコクーンの運営には直接的にはかかわらず、コクーンは人間達の統治機関である『聖府(せいふ)』によって統治されている。
『コクーンのファルシ』と言ったからには、当然ながら『下界』にも対応するファルシが存在する(『下界のファルシ』)。このファルシ、何をするかというと、要するに“見初めた相手に自分の印をつけて手駒にする”とでも言うようなことであり、この“印”を付けられた人間のことを『ルシ』と呼ぶわけだ。ルシはごく曖昧な映像をファルシに見せられ、そこから自ら見出した“使命”を果たすことが本懐である。
一方で、(おそらく聖府の行き届いた教育もあるのだろうが)コクーン市民は下界を極度に恐れている。何せ「地獄」と表現するほどだ。だから、下界に関わった人間を全力で排除しようとする。村八分というよりは、ニュアンスとしてはおそらく「殺してでも排除する」という所だろう。
そんな折――オープニングが『13日目』とされているが、大々的に発見されたのはホープの発言から二日前――コクーン内に位置する臨海都市ボーダムで、『下界のファルシ』が発見された。聖府は調査隊を派遣したものの、最終的に調査隊との連絡が途絶えてしまう。事ここに至り、聖府は下界に関わったボーダムをコクーンから切り捨てることを決定、そのためにボーダム市民を列車に乗せてハングドエッジに移送、そこから下界へと追放する――『パージ』政策の実行を決定した。
ライトニングはおそらくこのパージの実行部隊として志願し、その一方で自身の目的のために列車を制圧、聖府に反旗を翻した。
オートクリップ(ゲーム内の用語など、様々な資料を読むことができるメインメニュー項目)の内容も利用して説明してみたが、思ったより長くなってしまった。例の『パルスのファルシのルシがパージでコクーン』などというのはFF13の体験版で「FF13のオープニングを短く説明しようとすると訳が分からない」というのが原点だそうだが、体験版にはオートクリップが存在しなかったのか? …それはともかく、どうも『一般的な単語で説明すればいいのに、作中で専門用語を連発している』ということに対する揶揄も含まれているようだ。いや、それを差し引いたとしてもこれのどこに頭がパンクする要素があるんだ…? 体験版がバトルシステムを重視した作りになっていたという話があるので、このあたりのストーリーはすっ飛ばしたのが原因なのだろうか。
なお、『ファルシ』『パージ』『コクーン』『下界』などについては、作中の会話でプレイヤー向けに噛み砕いて説明するシーンは今のところ見られない。これは当然のことで、作中に登場するキャラクター達はこれらのことを“常識”として知っていて、だからわざわざ説明するような会話がない。プレイヤーとしては「俺たちは分からないんだからしっかり説明しろ!」と言いたいところだが、このあたりの“常識”はオートクリップで補完されている。現実に置き換えてみよう。二十歳にもなって「1+1=2」であることをしたり顔で説明してくる奴がいたら、そりゃイラッと来るでしょ? 作中世界の常識を改めて語らないというのは、そういうことなのだ。もちろんファンタジー小説では必要最低限のフォローが必要になるが、これはゲームであり、そのフォローとして自由なタイミングで読み直せる資料が用意されている。
そう考えると、FF13ってFF8に似てるよね。FF8は世界観をなす要素が、『チュートリアル』にさらりと載せてあるようなゲームだった。あくまで作中の常識は改めて語らず、資料として用意されていた。
……話が長くなったが、そろそろゲーム内に話を移そう。
ライトニングは列車を制圧し、中にいたボーダム市民を結果的に解放する。ハングドエッジを同乗していたアフロのサッズと共に探索する最中、ライトニングはとんでもないことを口走った。
彼女の目的は、『下界のファルシ』だと言うのだ。コクーン市民として、本来は有り得ないことである。
サッズは一般的なコクーン市民の視点を持った(FF10で言えばワッカに相当する)キャラクターであり、少なからず動揺したようだ。まあ、それ以上に重力操作装置を操って無茶な移動をしようとするライトニングを止めたり追ったりと、そっちの方が大変な気がするのだが……
【光速の異名を持ち重力を自在に操る高貴なる女性騎士】
ボーダム治安連隊所属 通称ライトニング
名字はファロン 名前は知らね
(第三章より、スノウによるライトニングの紹介)
指パッチンで重力操作装置を起動するとかなんとかかんとか。
あくまで“ライトニング”は通称であり、本名ではないそうだ。
そういう意味では、本名を名乗らない主人公というのはFFでも初…?
なお、彼女を示す語として妙に氾濫している“光速の(以下略)”という語は
公式のものではなく、雑誌のライターが余り情報の出ていない頃に考え出した、
最終的にあまり本質を突いたとは言えなくなったキャッチコピーである。
光速じゃなくて閃光だったし、重力操作装置はアフロに危うく壊されそうになるし…
一方で、パージされたボーダム市民を守るため、レジスタンス活動も勃発していた。スノウ率いる自警団『ノラ』が、迫害されパージされる市民を守るために武器を取って立ち上がったのだ。『ノラ』は表向きのカフェ運営をしながら、普段は魔物を相手にするなど自警団組織としての活動が多く、軍からはある程度の理解を得られていたようだが、ここで対立。
戦える人間にも自由意志での参加を呼びかけた結果、それなりの市民(子供は除く)が活動に加入。その中でも、息子を守るために立ち上がった母親――ノラが、スノウの目を惹いた。
聖府は、パージ政策のことを「下界に関わった人間を下界に追放する」と説明してきた。しかしその実体はあろうことか虐殺だったのだ。確かに、下界に関わった人間は社会から排除される。今回の大規模な『パージ』は、このコクーン社会の共通認識から生まれたものであり、わざわざ追放しなくても排除することはできるのだから、そうしてしまえばいい、というのが実際の聖府の考えだったのだろう。
スノウ達『ノラ』を筆頭に、市民は抵抗する。しかし軍の攻撃も激しく、最終的にかなりの市民が犠牲になった。スノウも窮地をノラに救われたが、そのノラも死亡した。残された息子――ホープは絶叫し、近くにいた少女ヴァニラと共にスノウを追って行動しようとし始めた。
しかし、このヴァニラさん思った以上に不審だ。コクーン市民の“常識”を意にも介さず、念のためとスノウが残した銃一丁を嬉々として、とは言わずともやけにテンション高い動作で受け取り、どうにもつかみ所がない。
そして、ヒーローを気取る、というよりもヒーローたろうとするスノウの目的も、『下界のファルシ』だった。どうやら、『下界のファルシ』に関わったのはスノウの婚約者らしい。
【ノラ・エストハイム】
母は強しよ
『ノラ』が主導するレジスタンス活動に、息子のホープを守るために身を投じた女性。
最終的にスノウをかばって命を落とすのだが、彼女はスノウに息子の事を頼んで落下した。
…当然ながら、フードというか白装束で顔もまともに確認できなかった状況下であり、
スノウはノラの息子が誰なのか、まるで把握できていなかったのだが…。
そして、第二章。
スノウ、そしてライトニングとサッズは、それぞれ飛行機械に乗って『異跡』――下界のファルシを内包する謎の建造物に突入する。
母の死の責任をスノウに求めるホープもまた、ヴァニラに背中を押されて飛行機械に乗り、異跡に進入した。
異跡内部は、調査隊の機械などが徘徊している状態だった。また、シ骸――使命を果たせなかったルシの成れの果てがうろついている。シ骸には“グール”などの名前がついており、従来作のアンデッド系がここにカテゴライズされることになるのだろうか?
しかし、まだ戦闘でできることと言えば張り切って○ボタンを連打するくらいなので、適度に戦闘しつつ奥に歩を進めていく…
いやはや、自分が『ファイナルファンタジー』でも特に好きなのは6以降なのだが(4以前は未プレイというのもある。ついでに言えば7と10、10−2は最後までプレイしていないのではっきりとは評価できない)、その理由は“科学”がフィーチャーされていることである。最近のFFは「剣と魔法」というオーソドックスなファンタジーのキーワードから若干離れているが、言わば「剣と科学のファンタジー」こそ最近のFFのトレンドであり、特色であり、自分が好きでやまない世界である。
そしてそれに漏れず、このFF13も実に素晴らしい科学のファンタジーを貫いている。やはり楽しめそうだ!
【謝罪の言葉】
拒んだのは――私のほうか
私が悪かった… 頼む
入り口で足止めを食らったライトニングとサッズは、
スノウが異跡の仕掛けを動かし始めたところで異跡への進入に成功する。
この時、ライトニングは謎めいた謝罪の言葉を扉に向けてこぼしたのだが…
【シ骸】
なんだよ これ!?
シ骸! ルシの成れの果て!
歩を進めるヴァニラとホープは、道中でシ骸に取り囲まれる。
まさにバケモノであり、あまりの数に気圧された二人は、
大男――スノウの乱入により切り返すチャンスを得た。
【下界のルシ】
下界のルシは、コクーンの敵だ
ライトニングの妹にしてスノウの婚約者、セラ。
彼女こそが下界のファルシに選ばれたルシだった。
ライトニングとスノウの目的は彼女の救出であり、
しかしサッズはコクーンの教えに忠実に、銃を抜こうと考えていた。
ルシは使命を果たし損ねるとシ骸になる。サッズはそう言ってライトニングを諭そうとする。
殺すのが情けか、と反駁するライトニングの言葉は、目覚めたセラの手で止められた。
ライトニング、スノウ、サッズ、ホープ、ヴァニラ。
5人の目の前で、『使命を果たした』セラはクリスタルへと変わる。
その一方で軍の総攻撃が開始され、異跡も被害を受け始めた。
セラを元に戻そうと、下界のファルシに交渉しようとしたスノウを筆頭に奥に歩を進めた彼女らは、下界のファルシ――ファルシ=アニマと対峙する。
って、アニマ!? どうやら、今作のファルシには従来作の召喚獣の名があてがわれているようだ。そういえばオートクリップか何かで『コクーンのファルシはファルシ=エデン』だと書いてあったな。どちらも過去作では強大な召喚獣だったが、やはり選定基準はそこなのだろうか。
ファルシ=アニマに土下座し、代わりに自分がルシになってもいいとすら言い切ったスノウの横で、激昂したライトニングが剣を打ち付ける。下界のファルシはコクーンの敵――下界のファルシは人間の望みなど聞く耳持たないだろうと言って。
【BOSS:ファルシ=アニマ】
セラはコクーンを守れと言った。
こいつを、倒せってことだ!
セラはライトニングとスノウに「コクーンを守って」と言い残してクリスタルと化した。
彼女の思いに答えるため、ライトニングは剣を構える。
一方ホープは全力で逃げ退ろうとしたのだが、見えない壁に阻まれてしまった。
というわけで、本作初のボス戦、「ファルシ=アニマ」戦だ! 本体である「ファルシ=アニマ」と左右の触腕、計3パーツで構成されている。いきなり多部位の敵との戦闘とは…と思ったが、ボス戦で複数の敵が出現するとなると従来作の序盤にも十分見られるし、特に珍しいものでもない気がする。召喚獣の名前が冠されているが、外見はFF10のアニマと全く関係なく、かなり機械化された風貌だ。
といってもやれることは相変わらず○ボタン連打だけなので、特に言うこともないのだが…
この戦闘はボタン入力すら必要ない。ファルシ=アニマはごく近距離にしか攻撃できないので、リーダーのライトニングは初期位置に居れば一切のダメージを受けない。そして二丁の銃が獲物のサッズは、ライトニングの横から動かずに銃撃をファルシ=アニマ本体に繰り返す。そのため、時間さえかければサッズの銃撃だけで撃破することが可能である。まあ、リア充スノウはボッコボコにされてそこにうずくまるのだが…
しかし、これでは時間がかかりすぎるので、左右の触腕を破壊する→本体に攻撃を加える、の順に延々と攻撃を繰り返してさっくり撃破。左右の触腕は復活させられるが、かなり柔らかいので苦にもならない。
ファルシ=アニマを撃破したと思ったのも束の間、ライトニング達は気付くと見知らぬ場所に漂っていた。今の彼女たちではファルシを破壊するには至らず、むしろファルシ=アニマは第二形態というには余りにも強すぎる姿になって彼女たちを出迎えたのだ。
ファルシ=アニマは、その光の蔦で少年から中年まで逃すことなく触手プレイ拘束し、そして“ルシの刻印”を刻みつけたのだった――